人事管理システムをオンプレからクラウドへ
失敗する会社が必ず飛ばしている設計の順番
人事管理システムをオンプレミスからクラウドへ移行する企業は、年々増えています。
「オンプレは古い」「クラウドにすれば効率化できる」
そうした流れの中で、移行を検討している企業も多いのではないでしょうか。
一方で実務の現場では、
- 勤怠や給与の計算が合わなくなった
- 現場からの問い合わせが急増した
- 労務リスクがむしろ顕在化した
といった、クラウド移行後のトラブルも確実に増えています。
問題はクラウドそのものではありません。
多くの失敗事例に共通しているのは、
移行前にやるべき設計の順番を飛ばしていることです。
クラウド移行で「楽になる会社」と「事故る会社」の違い
クラウド移行がうまくいく会社と、そうでない会社には明確な差があります。
うまくいかないケースでは、
「システムを変えれば何とかなる」
「今の運用はそのままでいい」
という前提で進めてしまうことが少なくありません。
結果として、クラウド導入後に初めて
「こんなにルールが曖昧だったのか」
「例外処理が多すぎた」
という事実に直面することになります。
クラウド化=業務が楽になる、は幻想
クラウド導入にあたって、よく聞く期待があります。
- Excel管理から解放される
- 計算が自動化される
- 人事担当者の負担が減る
しかし実際には、
- 初期設定が複雑で理解できない
- 例外処理ができず運用が回らない
- 「前のシステムではできたこと」ができない
- ベンダーに聞いても「仕様です」で終わる
といった声が多く聞かれます。
クラウドシステムは、
整理されたルールと運用を前提に設計された道具です。
ルールが整理されていない会社ほど、
「楽になる」どころか混乱が増える傾向があります。
オンプレ時代の曖昧な運用は、クラウドで全て露呈する
クラウド移行時に、特に問題として表面化しやすいのは次のような点です。
- 振替休日・代休の定義が曖昧
- 固定残業代の控除ロジックが整理されていない
- 管理監督者の線引きが不明確
- 変形労働時間制の前提条件が崩れている
オンプレ環境では、
Excelや人の判断で「何となく」処理されていたことも、
クラウドでは通用しません。
システム上は計算できていても、
法令上は不適切というケースも珍しくありません。
クラウドは、
ルールの曖昧さを隠してくれる存在ではない
という点をまず理解する必要があります。
オンプレの運用をそのまま持ち込むと、なぜ失敗するのか
クラウド移行でよく見られる失敗には共通点があります。
- ベンダー任せで判断してしまう
- 現場要望をすべて設定に反映しようとする
- 過去の例外処理をそのまま残そうとする
その結果、
- 設定が複雑化し
- 運用がブラックボックス化し
- 誰も全体を説明できないシステム
が出来上がってしまいます。
「前の仕組みを再現したい」という発想は、
クラウド移行においては失敗の入口になりがちです。
クラウド移行の本質は、システム選定ではない
多くの企業が最初に悩むのは、
「どのクラウドを選ぶか」という点です。
しかし本質はそこではありません。
重要なのは、
どのシステムでも再現できる運用ルールを先に作ることです。
クラウド移行はITプロジェクトではなく、
制度と運用の再設計プロジェクトです。
まずルールをシンプルにし、人が理解できる状態を作る
ここが、クラウド移行で最も重要なポイントです。
良い運用ルールとは、
特定のシステムに依存せず、処理や判断の理由を人が説明できる状態
を指します。
これはツールの性能の話ではありません。
- システムの中身を見なくても
- なぜその計算結果になるのか
- なぜその判断になるのか
を、人が言葉で説明できるかどうか、という問題です。
具体的には、
- 勤怠・給与・手当・休暇ルールを棚卸しする
- 判断基準を言語化する
- 就業規則や関連規程を見れば、誰でも同じ判断にたどり着ける
この状態を作ることが、クラウド移行の出発点になります。
それでも再現できないものが出てきたときの判断
ルールを極限までシンプルにしても、
どうしてもクラウド上で再現できない運用が残る場合があります。
そのときに初めて、
- システムの仕様に合わせる
- 運用で吸収する
- 制度そのものを見直す、やめる
という判断を行います。
これは妥協ではありません。
設計の最終判断です。
最初からクラウドにルールを合わせるのとは、
意味がまったく異なります。
HR designが提供できる価値
HR designは、特定のクラウドシステムを販売する立場ではありません。
私たちが行っているのは、
- ルールの棚卸し
- 制度・運用・システムの整理
- 「どこまでを標準に、どこを運用で吸収するか」の設計
です。
クラウドを「入れること」ではなく、
使える状態にすることを支援しています。
まとめ|クラウドは最後。最初はルール。
クラウドは魔法の杖ではありません。
成否を分けるのは、導入前の準備です。
まずルールをシンプルにする。
人が説明できる形にする。
それでも無理な部分だけ、最後にシステムへ寄せる。
この順番を守るだけで、
クラウド移行の失敗確率は大きく下がります。
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- クラウド移行を検討しているが、今の運用で問題ないか不安
- 勤怠・給与・ルールが複雑化している
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このような場合は、
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