年末年始、管理職が気をつけたい“労働時間の落とし穴”
――見落としがちなグレーゾーンを仕組みで防ぐ**
忙しい時期こそ、労働時間トラブルが起こりやすい理由
年末年始は、労働時間の管理が一年で最も乱れやすい時期です。
忘年会、締め作業、在宅での緊急対応、突然の呼び出し──。
「少しだけ」「つい返信しただけ」という曖昧な行動でも、
後から 未払い残業・労働時間の算定漏れ に発展することがあります。
特に管理職は“現場判断”で対応しがちですが、
労働時間の扱いは 労基法の定義 に基づくため、
判断ミスがそのまま会社のリスクになります。
ここでは、年末年始に特に注意すべき労働時間の落とし穴と、
管理職が押さえるべき実務ルールを整理します。
忘年会・懇親会で発生する「労働時間扱い」の境界線
任意参加でも労働時間になるケースがある
忘年会・懇親会は「業務外」と決めつけられがちですが、実務では次のようなケースが問題になります。
- 幹事業務(会場手配、参加確認、会費集計など)
- イベントでの司会・進行役
- 接待を兼ねた参加
- 上司が実質的に参加を強制している場合
判断基準は、
使用者の指揮命令下に置かれていたかどうか。
“その場にいた時間”ではなく「業務として拘束されていたか」 がポイントです。
移動時間の扱いにも注意
業務性がある忘年会であれば、移動も労働時間となります。
一方、完全にプライベート参加であれば非労働時間です。
曖昧なまま現場に任せると、後から認識の食い違いが生じます。
在宅勤務中の“つい返信”が労働時間になる理由
休日・深夜でも「業務に従事した事実」が優先される
在宅勤務では、スマホ通知を見て “つい返信” してしまうことがあります。
しかし、メールやチャットへの返信は 業務そのもの。
本人の意図(少しだけ/仕事のつもりではない)に関係なく、
業務従事の事実 に基づき労働時間と認定されます。
管理職の深夜通知が“隠れ労働”を生む
管理職が深夜にメッセージを送ると、部下が
「返信しないといけない」と心理的に拘束されることがあります。
これも実質的に指揮命令下と評価される可能性があります。
在宅勤務はログが残りやすく、後から証拠となるため、
ルールの整備なしで運用するのは危険です。
休日出勤・代休の取り扱いミスは年末年始に集中する
代休と振替休日の違いは、実務でも誤解が多い
管理職が混乱しやすいポイントがこの2つ。
代休(休日労働の後で休みを与える)
休日労働が発生した時点で割増賃金が必要。
後日休ませても、休日労働を帳消しにはできません。
振替休日(事前に休日と労働日を入れ替える)
“適切に行えば”、休日労働とならず割増賃金は不要。
ただし──ここが重要です。
週をまたいで振り替えた場合、週40時間を超えると時間外労働となり、割増賃金が発生する。
振替=必ず割増不要ではありません。
年末年始は休日が不規則に動くため、
週の区切りと労働時間総量の管理が必須です。
管理職が陥りやすい“労働時間の自己判断”という落とし穴
管理監督者=残業代不要、は誤解
管理監督者であっても、
労働時間の把握や深夜割増の支払いが必要な場合があります。
形式的に「管理職だから」では判断できず、
- 経営への関与度
- 出退勤の裁量
- 賃金(役職手当等)の水準
など実態によって判断されます。
“善意のサービス”が会社のリスクに変わる
管理職が「これは仕事ではないだろう」と
独自判断した結果、
後から労働時間と認定される例は非常に多いです。
労働時間の判断基準は会社ではなく 労基法の定義。
管理職の理解不足が、そのまま会社の法的リスクにつながります。
年末年始のトラブルを防ぐための“実務で使えるルール設計”
最低限整えておくべきルール
- 休暇中・深夜のメール送信を制限
- 緊急連絡の基準とフローを明確化
- 在宅勤務の「勤務扱い/非勤務扱い」を文書化
- 忘年会など社内イベントの位置づけを統一
- 代休・振替休日の取り扱いルールを明文化
仕組みとして支える運用
- 勤怠システムで時間外労働を自動アラート
- メール・チャットの送信時間制限
- 管理職へのミニ研修・判断基準の共有
- 部門ごとの“グレーゾーン”棚卸し
ルール × 仕組み がそろって初めて、
管理職の判断が安定し、現場のトラブルが減ります。
まとめ:年末年始は“トラブルが起きやすい環境”が揃う時期
年末年始は、忙しさ・イレギュラー対応・在宅勤務などが重なり、
労働時間の境界線が曖昧になりやすいタイミングです。
だからこそ、管理職が判断基準を理解し、
会社としてのルールと仕組みを整えることが最大の予防策です。
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