🧾 2025年の年末調整に向けて、企業が準備すべき人事労務対応
〜制度改正のポイントと実務でやっておくべきこと〜
毎年の恒例行事である「年末調整」。
しかし2025年(令和7年分)は、例年どおりの対応では済みません。
所得控除の見直しや電子化の拡大など、制度そのものの改正に加え、
人事・労務部門としても事前に整備しておくべき運用体制 が複数あります。
この記事では、税務的な解説ではなく、
「年末調整をスムーズに進めるための人事労務上の準備」
にフォーカスして整理します。
1. 改正の概要(2025年の変更点をざっくり把握)
2025年の年末調整では、以下のような制度改正が予定されています。
- 基礎控除・給与所得控除の見直し(高所得者の控除縮小)
- 「特定親族特別控除」の新設
- 証明書類の電子化が正式に認められる
- 扶養控除・配偶者控除の所得区分の見直し
- マイナンバーカード電子証明書の更新注意
これらはいずれも 2025年12月(令和7年分)年末調整から適用 されます。
制度の細かい税務判断は税理士領域ですが、
人事労務担当者が「仕組みとして備えるべき環境整備」には直接影響します。
2. 人事労務としての準備ポイント
(1)電子化に向けた運用整備
生命保険料控除証明書などの提出が電子データで可能になります。
これにより、紙書類の回収・保管が不要になる反面、
社内の電子データ管理体制 が問われるようになります。
- どの形式のデータを受け取るか(PDF・XML・スクリーンショット等)
- 保存場所(クラウド・サーバー・共有フォルダ)の決定
- 個人情報保護とアクセス権限の設定
特に、電子提出を前提にする場合は 従業員への周知と操作説明 が欠かせません。
(2)マイナンバーカード・電子証明書の期限管理
マイナンバーカード自体の有効期限は10年ですが、
電子証明書(署名用・利用者証明用)は5年で失効 します。
- 電子申告や控除証明書の提出に使う場合、期限切れだと手続きが止まる
- 従業員の証明書更新を把握しておく必要がある
社員のカードを預かるわけにはいかないので、
「期限が切れそうな人に通知する仕組み」や「更新マニュアル」を整えておくと安心です。
(3)税理士・給与システムとの連携準備
控除制度や様式変更により、給与計算システムの更新が必要になります。
また、税理士が年末調整処理を行う企業では、
データ連携・やり取りの形式 を早めに確認しておくことが重要です。
- 改訂された申告書のフォーマットを使用しているか
- 給与データの共有方法(CSV出力/クラウド共有など)
- 税理士との連絡スケジュール
「11月に入ってから慌てて確認」では間に合いません。
10月中に担当間の分担ルールを明確にしておきましょう。
3.社内対応で見落としがちなポイント
- 新入社員や中途入社者への年末調整案内を忘れていないか
- 扶養控除等申告書などの旧様式を誤って配布していないか
- 電子データ提出希望者への操作ガイドを整備しているか
- 紙提出者との併用ルールを明確にしているか
これらは“税額計算”ではなく、人事労務管理の整備不備 に関わるミスです。
年末調整が税理士任せでも、回収・確認・管理は社労士領域の責任範囲 に含まれます。
まとめ
2025年の年末調整は、単なる税制改正ではなく、
電子化と労務管理体制の整備が問われる年 です。
人事・労務部門としては、
- 提出・保存方法の電子化対応
- マイナンバー関連の有効期限管理
- 税理士・システムとのデータ連携準備
この3点を早めに整えておくことが、トラブル防止と業務効率化につながります。
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