労働時間法制の課題と展望:働き方改革から見える未来

働き方改革関連法の施行から5年。企業の労働時間管理は大きく変化しつつあります。今回は、厚生労働省の報告書をもとに、労働時間法制の現状と課題、そしてHR designが企業の皆様に提供できる具体的な支援についてご紹介します。


厚生労働省の報告書から見える課題

労働時間規制の現状と課題

2019年に導入された時間外・休日労働の上限規制(月45時間・年360時間/特別条項あり)は、企業の労働時間管理に一定の効果をもたらしました。しかし、医師や自動車運転者など一部職種では、依然として一般より長い上限が適用されており、健康確保措置の充実や一般規制への移行が今後の課題です。

また、36協定はあくまで「上限の設定」であり、個別の労働者に時間外労働の義務を課すものではありません。育児・介護などの事情に限らず、柔軟な働き方を選択できる制度設計が求められています。

労働時間の情報開示による改善

外部への情報開示

企業の労働時間や休暇取得状況を求職者が把握できるようにすることで、労働市場における適正な人材配置が促進されます。平均だけでなく、最長時間外労働などの実態に即した情報開示が望まれます。

内部への情報共有

衛生委員会や労使協定締結時の過半数代表者への情報提供は、健康障害の防止や実効的な交渉に不可欠です。個人への開示は、割増賃金の適正支払い確認や法違反の是正にもつながります。

テレワークと柔軟な労働時間管理

テレワークの普及により、従来の労働時間管理では対応しきれない課題が顕在化しています。フレックスタイム制の見直しや、新たなみなし労働時間制の導入など、柔軟な制度設計が求められています。

出典:厚生労働省「労働基準関係法制研究会報告書」

https://www.mhlw.go.jp/content/11402000/001370269.pdf

HR designが支援できること

労働時間規制への対応支援

  • 36協定の作成・見直し支援
    実態に即した協定内容の設計と、労使間の合意形成をサポートし、法令遵守と働きやすさの両立を図ります。
  • 労働時間管理の運用改善
    勤怠データの分析を通じて、長時間労働の傾向を可視化し、改善策を提案します。
  • 健康確保措置の制度設計
    長時間労働者への面談制度や医師の面接指導など、法令に基づいた対応を支援します。

労働時間の情報開示・共有支援

  • 労働時間データの整理・開示支援
    衛生委員会や労使協議の場で活用できる資料作成を支援します。
  • 人事評価制度との連動設計
    労働時間の短縮を評価に反映させる制度設計をサポートします。
  • 情報開示のルール整備
    個人情報保護に配慮した社内開示ルールの策定を支援します。

テレワーク制度の整備支援

  • テレワーク規程の整備支援
    在宅勤務やサテライトオフィス勤務など、多様な働き方に対応した制度設計を支援します。
  • フレックスタイム制の導入支援
    コアタイムの設定や労働時間管理方法の見直しをサポートします。
  • みなし労働時間制の適用判断支援
    業務内容や実態に応じた制度選択を助言します。

実際の支援事例:管理職教育による残業削減

HR designでは、あるクライアント企業に対して、勤怠管理アプリの確認ポイントを整理・伝授する支援を行いました。企業側はそのポイントをもとに、管理職向けの教育プログラムを実施。結果として、管理職が部下の労働時間管理のコツを理解し、残業時間の削減につながりました。

このように、制度設計だけでなく、現場での運用改善や人材育成までを一貫してサポートできるのが、HR designの強みです。

まとめ

長時間労働を前提としない働き方を「当たり前」にするためには、制度の整備だけでなく、企業の意識改革が不可欠です。HR designでは、法令遵守と柔軟な働き方の両立を目指し、企業の人事労務管理をトータルで支援しています。

「制度を整えるだけで終わらせない」
HR designは、実務に落とし込むところまで伴走します。ご相談はお気軽にお問い合わせください。

投稿者プロフィール

佐怒賀 奨吾

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