今さら聞けない!「これは労働時間?」曖昧な時間管理がもたらすリスクと判断の境界線
「休憩中の電話」「移動中のメール」——それ、労働時間かもしれません
昼休みに電話を取ったり、移動中にチャットで指示を出したり。
多くの職場で“なんとなく”行われているこの時間の扱い、実は法的には曖昧では済みません。
労働時間の定義を誤ると、未払い残業や是正勧告につながる恐れがあります。
「労働時間」「休憩時間」「手待ち時間」の違いを知っていますか?
労働時間とは「使用者の指揮命令下に置かれている時間」のこと。
一方、休憩時間は「労働から完全に解放され、自由に利用できる時間」です。
この2つの中間に位置するのが「手待ち時間」。
たとえば、ドライバーの荷待ちや受付職員の来客待機など——
業務をしていないように見えても、すぐ指示に応じる必要がある場合は労働時間に含まれます。
裁判例(大星ビル管理事件など)でも、「自由利用の可否」が判断基準とされています。
曖昧な“グレーゾーン時間”が生まれやすい場面
実際の職場でトラブルになりやすいのは、こんなケースです。
- 始業前・終業後の片付けや準備
- 昼休み中の来客対応・電話応対
- 出先での待機(次の訪問までの手待ち)
- 会議後の片付けや議事録作成
こうした時間を“自主的にやっている”とみなして放置すると、
のちに「指揮命令下だった」と判断され、未払い残業が発生する可能性があります。
“作業していない=休憩”ではなく、“自由に過ごせたか”が本質です。
実務で押さえるべき時間管理のルール
曖昧な管理を防ぐためには、ルールと仕組みの両輪が必要です。
- 就業規則・マニュアルに明記する
「休憩中の電話対応は勤務扱い」「外勤中の待機は労働時間に含む」など - 勤怠システムで反映する
休憩・待機・中抜けを正しく申請できる運用を設計する - 上司・管理職の行動を制限する
休憩中のメール送信や指示を禁止する
外勤職の場合はGPS打刻やステータス管理など、
実態に合わせた設定を行うことでトラブルを防げます。
放置すれば“働き方の歪み”に
曖昧な時間管理は、単なる勤怠の問題にとどまりません。
“休憩中も仕事してしまう文化”は、長時間労働や疲弊の温床になります。
一方で「自分の時間を守れる」仕組みがある職場は、
信頼関係が生まれ、生産性も上がります。
“どこまでが働く時間か”を、仕組みで明確にする。
それが健全な職場づくりの第一歩です。
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